2006年〜2008年

MASH大阪はこれまで、堂山町を利用するMSM層を主な対象として定期的に調査活動を行い、自分達の実施している予防のプログラムがどの程度効果があったのかを調べています。

その結果:

* 抗体検査受検率が19%(1999年)から37%(2006年)に向上した
* 特定相手のコンドーム常用率が37%(1999年)から61%(2006年)に向上した
* エイズ関連知識正答率が大幅に向上した

などの成果がありました。調査の対象であった堂山町のクラブ利用者においては、確かにこのような成果がみられたのですが、いっぽう厚生労働省エイズ動向委員会によると、近畿地方における過去5年間に報告された日本国籍MSMのHIV感染者数、エイズ患者数は以下の通りでした:

(年次、感染の状態で分かった人、エイズを発症して分かった人)
2003年 73人 10人
2004年 105人 16人
2005年 112人 24人
2006年 126人 27人
2007年 153人 27人

このうち、大阪府での報告数が占める割合はざっと7割ですが、いずれにしても、発症して見つかる人の数には頭打ちの兆しがうかがえるものの、感染者報告数は大幅な増加傾向が続いています。この感染動向と先に述べた成果とを考えあわせると、関西地域におけるエイズ予防の状況として:

(1)ゲイタウンを利用する若年層の人たちに向けた予防事業には一定の成果がみられるが、中高年層にどの程度効果があったかは分かっていない
(2)ゲイタウンを利用しない層には予防の情報が十分に届いていない可能性がある

ことが示唆されています。†への対策としてMASH大阪では、2005年からバー利用者層への詳しいアンケート調査を開始し、2007年にも実施しました。これらの調査により、大阪のバーを利用する層のニーズが少しずつ見えてきました。また†への対策として、大阪のゲイタウン(堂山、ミナミ、新世界)を利用する母集団の規模を調査するプロジェクトを開始。その結果、ゲイタウンを利用する人たちの数がかなり正確に把握できるようになりました。同様の調査は京都や神戸でも実施する予定です。またこの調査結果をもとに、ゲイタウンを利用しない層の規模がどのくらいなのかを推定することも可能になりました。様々なデータを考え合わせると、大阪の三つのゲイタウンを一年間に一度でも利用する層はざっと3万人から4万人、またゲイタウンを利用しない大阪府在住のMSM(ゲイ・バイセクシュアル男性)はその三倍程度と推定されます。

このような調査結果をふまえ、MASH大阪は2006年以降、これまで実施してきた:

* ドロップインセンター<dista>の運営
* STI(性行為感染症)勉強会の開催
* コミュニティペーパー<SaL+>の発行
* 若年層向けネットワーク構築のためのイベントプログラム<step>の開催
* エイズ予防啓発のためのコミュニティイベント<PLuS+>の開催

などのプログラムを継続して実施するほか:

* ホームページの大幅リニューアル
* ハッテン場での予防啓発プログラムの立案

に取り組むことになりました。ホームページは、ゲイタウンを利用しない層に向けて情報を発信するメディアとしても充実させていきたいと考えています。

上記のような事業や調査と並行して、2006年から2010年まで、より多くのMSM にHIV抗体検査を受検するよう促すプロジェクトが発足しました。このプロジェクトは、すでに感染しているがそのことに気付いていない人たちに向け自分の意思で受検するよう促し、早めに感染を知ることでその後の治療とケアの効果および生活の質を高めることを目的としています。ここ数年の治療とケアの経験から、エイズを発症してから病院で検査を受けてHIV感染が分かる場合と、自分の意思で受検し感染が分かる場合とでは、その後の治療とケアの効果および生活の質において大きな違いがあることが分かっています。

このような理由から、MASH大阪では受検を促進するため:

* 検査環境の整備を行政に働きかける
* 性感染症クリニックでのHIV/STI検査キャンペーンを実施する
などの取組みを実施しています。

2006年2月
堂山地区利用者層の規模に関する調査実施
2006年4月
受検促進のためのプロジェクト(エイズ戦略研究MSM京阪神グループ啓発事業)発足
2006年8月
堂山クラブ利用者対象フォローアップ調査(第6回)実施
2006年10月
HIV/STI予防と共生のためのコミュニティイベント<PLuS+>開催
2007年3月〜6月
フォローアップ調査(第4回)実施
ミナミ・新世界地区利用者層の規模に関する調査実施
2007年8月
バー利用者フォローアップ調査実施
2007年9月
ホームページ大幅リニューアル
2007年10月
HIV/STI予防と共生のためのコミュニティイベント<PLuS+>開催
2008年5月〜6月
受検促進のためのクリニック検査キャンペーン第1回実施
2008年7月〜8月
クラブ利用者対象フォローアップ調査(第7回)実施

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