『ハッシュ!』は、売り専で働く大学生を描いた『二十歳の微熱』や子どもを失った夫婦の軌跡を描いた『ぐるりのこと』で数々の賞に輝いた橋口亮輔監督の2001年の作品。
付き合い始めて間もないゲイカップルが、ある日、奔放な女性と出会い、「赤ちゃんを産みたい」という彼女の提案でさまざまな出来事と対峙するというもの。
田辺誠一、高橋和也、片岡礼子のアンサンブルが素晴らしく、脇を固める秋野暢子や、光石研らも素敵だ。なお、『PLuS+』のショウでもおなじみのDQのメロディアスが、ハスラーアキラ名義でちょこっと出ているのも要チェック。
そして『PLuS+ファイナル』のために、3日間だけ特別上映されるのが
『ぼくらの季節』。
最近『キャタピラー』でベルリン国際映画祭で最優秀女優賞に輝いた寺島しのぶが主演した『ヴァイブレータ』やゲイ臭プンプンの、陸上競技に熱中する思春期の若者を描いた『800 TWO LAP RUNNERS』などの廣木隆一監督の、初期の傑作と言われる作品。
『ハッシュ!』と同じく、ゲイカップルがある女性と出会い、彼女の提案で子どもを作るという話だが、大きな違いは子どもを巡る2人の関係性。
『ハッシュ!』は子どもによって2人の始まったばかりの絆を深めようとし、『ぼくらの季節』は子どもによって2人のさらなるこれからを、見つめ直す・・・『ぼくらの〜』が公開された1983年という時代背景(東京ディズニーランドが開園し、ファミコンが発売された!)を考えると、当時としては斬新な話だったに違いない。
古くささや1時間ゆえの強引な展開は否めないけれど、作品の持つ本質とラストは上等。
今もドラマなどで活躍している主演の中根徹さんは、その男前ぶりに当時観たゲイの間では話題騒然だったそう。他にも北野武作品でブレイクした大杉漣が32歳で老け役を演じ、怪演ぶりを発揮している。
ゲイカップルにとって子どもを迎えるということをどちらもホロ苦く描き、観る人に提起している2作品、この機会にぜひ!